アグレッサ

【アグレッサ】段幕の弱点 (J・マグナム編)

耳をつんざく、ガトリングの音色。
ズバババと野太い反響音が鳴り響く。

轟音ともいえる、回転体による実弾連射は、
ダメージを確実に与えていた。

「くっそ。
 これがガンダムでなきゃな~」
 マグナムは、吐き捨てる。

 戦闘シミュレータ、ゴーストイマージュ。
 そこに登録された、ガンダム5号機。
 宇宙専用で、本体が入手できない。

 マグナムは、ゴースト・イマージュ上ならば、
 ハイスコアを叩き出していたのだ。

 実機さえあれば。
 使用許可は、もちろん下りない。
 現存するかさえ、怪しいMSなのだ。
 いらだちは募る。

 そこを再現するのも、アグレッサの腕の見せどころだ。
 ジオン軍には、グフ・カスタムという機体がある。
 ガトリング戦法も、ジムでいけると思われた。


 「お前は、弾にこだわりすぎなんだよ!
  勝ちにいけりゃ、イイんだよ。
  ン?!              」

 たまたま見かけたモンシア。
 ここに、ジム・カスタムとガンダム5号機の戦いが巻き起こる。

~~~~

 「その得物、ごてごてして振り回せないぜ!
  あそんでやるよ!」

  モンシアが、軽くいなす。

 バトルの舞台は、荒野。
 開始距離は、1000m。
 ファーンと、状況開始の音が鳴る。

 岩くれの散らばる荒野に、モンシアのジムカスタムが踊る。
 遮蔽物を利用した、連続ジャンプだ。

 ガンダムは、岩場をさけて開けた場所から狙う。
 威嚇射撃だ。
 これも戦術、ガンダムの装甲の堅さに頼っていた。

 ドガガガと、岩肌を削っていく一斉射撃。
 確実に、逃げ場を奪い去っていく。

 「でも、これは苦手だよな!
  地上には重力があるんだよ!」

 モンシアは、先手をとってガンダムを頭上がら撃ち込む!
 いつもの90mm実体弾でなく、
 新型のビームライフル。
 弾倉には6発分ある。

 「こなくそ!」
 マグナムは、ガトリングの曲がる弾道を修正して、直上へと道を作った。

 「読めてんだよ!」
 モンシアは、左右スラスターに火を入れて、
 ガトリングの図太い段幕を回避していく。

 さらに、ガンダムのボディにビームライフルを見舞った。
 2発、3発とくらい、さすがのガンダムも沈黙していった。
 最後は、大爆発の音がとどろいた。

 「惜しかったな!」
 「なぜ、当たらない?!」

 「宇宙でなきゃ、
  市街戦でつかう武器なんだよ。
  タイマンなんて、幻みたいなもんさ」


~~
 それから数年後。
 小惑星ペズンに、ゼクというMS が登場する。
 ドラムマガジンから大量の実体弾をばらまく、量産型MS 。
 フォーメーションの中なら、活躍できる証だ。
 ガトリングの弱点は、そこで解消された。

【アグレッサ】第4章 カートの帰還(ゴーストイマージュ編)_2016_0621アップ中♪

カートが戻ってきた。
ヨシュアと激突する!


ーーーーーーーー ゴースト・イマージュ

 「あんた、ヨシュアだよな。強ぇーんだってな、今は!」

 「あぁ、あんたがカート?強いわよ。なんか文句ある?!」

 キリマンジャロに構築されたゴースト・イマージュを前に、
 両者はいがみあった。

 月面で叩き出したカートの撃墜数を、ヨシュアが上回った。。。
 ハイスコア勝負ではなく、シミュレート対戦で競いたいと申し出たのだ。
 ヨシュアが。
 それを、カートが受けて立つ。
 紅白戦の形式をとるが、事実上のタイマンと言えた。
 どっちが勝っても、カートがアグレッサに入るという条件付きで。

 カートにとっては余興程度だが、どんな女ライバルか興味が沸いていた。

 対するヨシュアは、RWカスタムを乗りこなすカートに興味を抱いていた。
 砲撃戦になると予想されたが、私ならもっとやれる、という意気込みだ。

 
 ゴースト・イマージュは、実際の戦闘データを元にしたシミュレータ。
 戦術予想もふくめ、アグレッサの実務を支えている。
 キリマンジャロに構築されたのは、ほんの一部だったが、
 ジャブローとの衛星通信はリンクされていた。
 以前、キースとの戦術訓練で利用したものの、大型版となる。


 チーム分けは、次の通り。

 白チーム。
 ハイザック・キャノン(白星)が、ヨシュア。
 GMカスタム(赤馬柄)が、モンシア。
 GMキャノンⅡ(グラヴィティ柄)が、チャップ。

 赤チーム。
 RWカスタム(ガンタンク黒月)が、カート。
 クウェル改(デュラハン柄)が、ベイト。
 ハイザック・EWACパック(フクロウ柄)が、ジョージ。

 伏兵として、5分経過したらB.B.が、格闘戦で両チームに介入することとした。

 立地としては、砂漠となる。

---

 「コワい!あんたとマジでやれるなんて。」
 ヨシュアがそう、つぶやく。

 「ホントか?!うれしいぜ、オマエがいるなんてな!」
 カートがそう、ささやく。

 マジの戦いの臨場感が、ドクドクとこみ上げてくる♪♪♪
 ヤバいせめぎあいになりそうだった。
 ビンビンとつたわってくる緊張感。
 周りのアグレッサも、立ち上る香気にやられてしまいそうだった。


 「モンシア、久しぶりにガチだ!」
 ベイトが吠える。

 「手加減なしだかんな!」
 モンシアがわめく。

 「あぁ、はじまってしまうのですね♪」
 チャップが、クスリと笑った。

 「おいおい、聴かすのがはやくないか?」
 ジョージが、脇から声がけしていた。


 そこに、リンが声をかける。
 「ポイント制じゃありませんからね♪ バーンと、やっちゃって下さい♪♪」

 「ホント、よくやるよ。。。うちのは、血の気がおおいね♪」
 カイリーが、鼻で笑いかけた。


 「いくよ、オマエら!!!」
 ヨシュアが叫ぶと同時に、モンシアが声をあげた!
 「やらすかよ!オレは、早いんだよ。先鋒だからな~!!!」

 「オイオイ、敵だかんなw
  ネタばれして、勝つ気かよ!!!」
 


----------------
 (♪BGM: Docken / Shadow of Life)

 熱砂に埋もれたB.B.は、伏兵の役目を蛇ののたくりと感じた。
 カートにもらった音楽を聴きながら。

 「姉さん、がんばってくれ!!
  オレは、ベイト隊長とあたりそうだ。」


 「状況開始♪」
 リンが、ゴーストイマージュをコールした。
 両チームの作戦開始である。

 「リンちゃん、手みやげ何がイイ?」
 ヨシュアは、余裕しゃくしゃくだ。

 「お姉さんの笑顔で、お願いします♪」

 「オマエら、ヤル気ないだろ?」
 カイリーは、悪魔の笑みを浮かべた。


 ブー、とブザーが鳴る!
 はじめての紅白戦が、火ぶたを切った。

 
 モンシアが突出する!!
 「さきがけは、もらっっっっっった!!」
 
 突進する紅いGMカスタムは、砂漠を砂煙たてて突っ走る
 ハイブーストを聴かせながら、砂をわたるさまは、
 砂走りの竜をおもわせた。

 「感、良好♪
  モンシア、いただくぜ!」

 ジョージは、EWACハイザックを利用して、
 仲間の射撃ポイントを通告した。

 「ハイよ♪
  撃ち込むだけかよ、つまんねw」

 カートは、師弟のように座標を打ち込む。
 連撃により、モンシアが左右にケツをふっていく。
 EWACハイザック狙いが、足止めされた格好だ。

 「ヨシきた!!」

 ベイトが、モンシアをつぶしに左側に寄せていく。


 「そう来なくっちゃね!!!
  チャップ頼んだよ!!!」

 ヨシュアが突っ込むための援護射撃を開始させた。

 「よろこんで。ヨシュアさん♪」

 チャップは、ジョージとの戦いに戦慄をおぼえた。
 ジョージのリズムは、きっちりとしたカノン(神曲)。
 旋律は規則ただしく、予測しやすい。
 ただ、それを乱すヨシュアの動き。
 邪魔はさせたくない。長距離砲撃で、ビームキャノンを解放する!!
 直接、EWACハイザックを狙い撃つ!!


 「姉さん、もう待てないや!
  5分じゃ終わっちまう。
  もう動くぜ!      」

 B.B は、じれて動いた。

----------------
 (♪BGM: HER NAME IN BLOOD / WE REFUSE)

 カートは、ほとばしる!!!
 駆け抜ける疾風の中、自由がつきぬけてく!!!
 ど真ん中を突進していった。


 モンシアは、ジョージのミサイル攻撃を受け、
 盾をふっとばされた。

 ちょうどそのあたりで、フルブーストが切れる。
 スピードが落ちたところに、右翼からベイト
 が追いつき、ビームサーベルによる小競り合いになった。


 この間に、カートがバトルフィールド中央に陣取る。
 中距離兵器がとどく、間隔。
 そして、チャップのビームキャノンを避けられるポジションどり。

 あとは、突っ込んでくるヨシュアを待ち焦がれた。
 「何してくるんだよ、オイ?!」
 そう語りながら、標的(ハードポイント)を正眼にみすえる。
 ヨシュアの機体はハイザックだ。

 「そうくるなら、こうしてやる!!」
 ヨシュアは、キャノン・パックで砲弾を撃ち込んだ。
 ズドンと鳴る前に、煙が上がる。
 そして数瞬後、ドドンという骨太な発射音が
 砂漠の空に広がっていた。

 左に数歩のステップで動くカート。
 真横にガショと土煙が立ち昇る。
 そして、爆裂の閃光がグボっと発した。
 これが砂漠の中距離を知る両者ならではの攻防。

 なおも突っ込もうと左回りに旋回しつつヨシュア。
 カートは叫ぶ。
 「動かせるかよ。
  来いよ、コッチへ!!」
 そして黒いRWカスタムから両肩の弾を撃ち放つ!!

 当てるつもりでなく、回避させる気が起こる程度の距離。
 MS3機分の幅を。

 そこに上空を横切るミサイルの嵐。
 ジョージからチャップへの返礼だった。
 最大距離をナナメに狙い撃つ、EWACハイザックの戦い方だった。

 チャップは冷静に上空を見上げ、ターゲットをロックオンし続ける。
 上空であれば同士討ちはない。
 「ロックオンOK!ファイア!!」
 とビームキャノンを左から右へないでいく。
 

 左脚スラスターを強引に吹き上げて、軌道を変えるヨシュア。右脚スラスターは足をつく方向で急旋回をかける。
 さながら飛行機のドックファイトファイトに突入したみたいに。
 そして3砲撃。
 その砲撃に、ヨシュアの白★がゆれ動いた。

 「この野郎!」
 カートは気配を察知して、RWカスタムの砲台を連撃。
 照準(レーティクル)を合わせる間もなく、砲弾が放たれた瞬間を見つめた。

 気迫と気迫のぶつかり合い。
 ズボババンと衝突する砲弾がはぜる音が連鎖して鳴りわたった。
 爆炎の中で流れ弾がカート機の左肩に当たる。
 カートはザクマシンガンを撃つヒマもない。
 「くっ」
 続けざまに両者は砲撃を打ち合っていた。
 流れる刻が一瞬にも永遠にも感じられる。
 果てしなく続く爆音が、2匹の眼前を騒がしていた。
 一歩もひかない気迫。

 カートは叫ぶ
 「最高じゃねぇかオマエ!!!」
 ヨシュアは
 「最高じゃないアンタ!!!」と叫びつづける。

 エンドレスゲーム。
 そう思えた戦いにも、ダメージは蓄積されていった。

 カートは右肩に着弾。
 メインカメラにもヒビが入る。

 ヨシュアも左肩に被弾。
 さらにキャノンパックを全弾撃ちつくして、胸当てをぶち壊されていた。
 両者互角の戦い。


 そこにB.Bの通信。
 「ヨシュア姉さんとカートは補足した。
 でも。」

 「すっこんでな坊や!!!」
 「ベイトんとこ行っとけ!!!」
 「ヒマじゃねぇーんだ!!!」
 両者の息のあったかけ声に動かされ、BBは遊撃先をベイトとモンシアに切り替えた。

 爆煙が続く中、突き抜けてくるヨシュア気合いだけを見つめ、カートは奥の手を出した。
 「フルバースト!!!」
 あらかじめ決めておいたキーワードで、RWカスタムを限界起動させる。
 しゃがみ込みつつの砲撃と射撃。
 さらにフルブーストの加速でヨシュアに突っ込む。
 両手両足がひきつる勢いで爆音が沸騰した。

 ヨシュアは、ビームライフルを解き放った。
 「アンタ、何してくれんのさ。
 押し込んできて     」

 トリガーをにぎりしめるヨシュアの指が固く熱くふるえていた。
 全弾命中。
 互いの身体ともいえるMSが散り散りにはじけとぶ。
 スローモーションになった瞬間(とき)をへて、脱出ポッド射出の反動がコックピットにこだました。
 「ガコン!」

 「やっちまったな♪」
 「この、コンチクショウめが♪」
 カートもヨシュアも、気が抜けて笑いあった。
 B.B.が「カート兄さん、やるじゃないか!」
 スクリーン↑のポイント消失している両者。
 共倒れを知った。
 

 モンシアとベイトは、剣戟(けんげき)に割り込んできたB.B.に「すっこんでろ!!」とどやした。
 B.Bは、頭をかかえ「ハイハイ、お呼びじゃなかったですね。はぁ~」と意気消沈していた。
 「ベイト、お前より強いんだよホントは!」とモンシア。
 「何いってんだよ、部隊最強はオレだろ」」とベイト。
 激した攻防とともに、舌戦も互いにゆずらず、状況予定時間の10分がすぎた。
 ビームサーベル音も泣くしぼみ、戦いは「終了~~♪♪」とのリンの声。

 「ったく」とカイリーは激怒した。
 共倒れとはアグレッサとは言えない体たらく。
 さらに、引き分けに終わるとは。
 
 「確かに勝ち急ぐ意味はある。
  ただし、一か八かでなく、勝てる体制に持ち込むのが鉄則だ。
 場を制して、味方を信じる気持ちが必要なのだ。」
 
 

【アグレッサ】レッドゴースト 口伝(くでん)~ in JABRO

「シャア、
 お前の借りは
 返してもらう!!!」

サラマンダは、
そうジャブローで叫んでいた。

ビームを放った、その瞬間に。
レッドゴーストが、解き放たれた!

「栄光は、つかんだ!!
 今がその刻だ。

 お前は、宇宙を!
 オレは、地上を!

 約束は、果たされる。
 今が、その刻。
 今日から始まるんだ!!!」

 サラマンダは、
 シャアの魂を、解き放った!
 シャアの亡霊として生きる。
 共につらぬく、友としての道を。

 
 ネイティブとして、
 迷いこんだオレと、
 ジオンの名を、
 消し去ろうとしたお前と。

 赤い栄光をここに刻もう。
 スティグマ(聖なる痕跡)。
 もう、誰にもけがさせない。

 アマゾンと、
 ダイクンの名を。

 
 お前の道は、ここから始まる!!

【アグレッサ】第4章 カートの帰還(シャイニームーン)_2016_0210完了♪

カートが月で想う♪



- - - -  シャイニームーン(月面幻想)
(BGM♪: Nine Inch Nails / DEEP )


 カートは、月にいた。
 
 
 青い惑星(ほし)を抜け出し、真空の碧い(あおい)宇宙をおよぎきって。

 なつかしい温度の地平線。
 月面の地平線は、丸みが強く、
 太陽の光の明暗(コントラスト)も強い。
 大気のよどみがないだけで、これほどの
 すがすがしさを感じるとは?!
 自分でも驚いていた。

 いつものBGM は、数千曲にもなっていたが、
 リズムのない明滅の世界。

 ビームスナイパーの腕だけで、この地を守れるのか?
 かつての面影を、月面に浮かぶ青白い地球に重ねていた。

 スナイパーライフルの新型テストは、完了した。
 残るのは、実戦と戦術のみ。

 いま、宇宙を荒らす嵐はきてない。
 おのおのの宇宙港、ソロモン、ペズンからの増援要請は来ている。
 しかし、キリマンジャロは捨て置けない。

 「ならば、船をこぎだすまで♪」
 それを、最愛の女ライバル、ヨシュアに言われた気がして。
 ライフルのトリガーを解き放った。

 「デューン!!」という、メガ粒子の響きがコックピットに伝わる。

 キリマンジャロからの転戦も、悪くない♪
 船には湊(みなと)が必要。
 だから、こぎだそう。明日へ!


(完了♪ι(`ロ´)ノ)


※マラルメに、リスペクトを♪

【アグレッサ】第3章 ヨシュアの星(オーガスタ編)_2016_ 0207完了♪##

ロザミアが、食らいつく!



- - - 緑色の悪魔 (オーガスタ編)

 その湖は、キラキラした湖面の反射を、   素直にさらしていた。
 軍事基地が近くにあるということを、
 おくびにも出さずに。
 おだやかな午後の陽射しをあびて、
 どこかのバカンス客がボートをこいでいた。


 ここは、北米大陸のオーガスタ基地。
 大陸の中央部にある、湖畔の基地だ。

 まるで避暑地のように、鳥たちの鳴き声も聞こえる。
 ところが、ここしばらくは爆音が鳴り響いていた。
 新型バックパックやブースターの燃焼テストが行われたのだ。

 アグレッサ達は、MS のレスポンスUpや新武装の検定に訪れていた。
 クウェル改のマグネットコーティング、間接強度Up など。
 それは、GMカスタム、GMキャノンⅡにも及んだ。
 さらに、新型ビームライフルは、GM用とは比較にならない出力パワー。
 ハイザック用ライフルや、Mk-Ⅱ用試作ライフルもあると聞いている。
 つまるとこ、ティターンズの新装備を活用した、戦術プラン作成が望まれていた。


 0083の敵本拠地「茨(いばら)の園」や、「キンバライト基地」を想定。
 その場合、ジオン残党にビームライフル武装が考えられる。
 いつまでも、実体弾だけでもいけない。
 そのために、MS 武装の更新が必要となったのだ。

 あのレッドゴーストも、まだまだジャブロー周辺に出没している。
 射程20kmは、元より考える必要がある。

 しかし、連邦軍の用兵思想、集団戦とは異なるため、再構築が必要となっている。
 質の高さで、敵を圧倒する!
 面や空間の支配は、ティターンズの用兵思想とも合致していた。
 そうなると、高機動MS による遠距離射撃(スナイプ)や、砲撃戦となる。

 空軍が得意とした「Fast Look, Fast Kill !!」。
 遠距離索敵と、集中先制攻撃。
 ホバーベース改良による、高速移動はアフリカで開発している。
 後は、パイロットと索敵スキルの確保。
 それこそが、3次元バトルの要となっていた。
 「強化人間」という名前が、一人歩きしている由縁だ。

-- -

 「なんか、ザラつく女だね。アンタ!」
 ロザミアは、ヨシュアに突っかかった!

 それは、基地にあるシミュレータで、ハイザックの訓練をした時。
 廊下での、すれ違いざまだった!

 「なに、いってんのさ!!
  アンタ、キチガイ?  」

 「なにって、
  アンタこそ基地外なヤツだろ?!
  ここは、アタシん家だよ!!」

 ヨシュアも、ロザミアも、1歩も引かない!


 そこで、取り巻きのベイトが、一言発した。

 「うちのヨシュアが、何か??
  そそうはしてね~ようだが!!」

 アグレッサとして、黙ってられるか。
 そう、眼力をとばしながら。

 「そっちこそ、キチガイじゃない?!」

 ロザミアの高笑いに、ベイトがキレた!

 「おもしろい!
  サシで、勝負したらどうだい?
  うちのヨシュアは、めったに撃墜されないぜ!
  やれんのか?!」
  と、ベイト。

 ヨシュアが、
 「ということで、
  どっちが基地外なヤツか、
  試そうじゃないか?!  
  今すぐ、やれんだろう?
  オツムも、温まってるようだしww」


- -
(♪BGM : Straite Line Stitch / BLACK VAIL)

 予定外ではあったが、
 1 vs 1 のバトルを、はさむことになった。
 MS は、新しくきたハイザック。
 緑色の悪魔がどっちか、決める闘いになる。

 アグレッサとしては、
 いつも通りにケンカを売り買いしただけ。

 「半殺しでなく、
  本気でツブしてこい!!」
 ベイトは、そうヨシュアに声をかけた。


 早々に対戦方式が決まった。
 互いのMSに致命傷を与えない寸止め。
 コックピットの脱出ポッドが出たら完敗とした。
 そして、赤い★をロザミア機、白い★のエンブレム(紋章)をヨシュア機とした。
 
image
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 この両者のハイザックを見て、観客となる仲間達も、がぜん盛り上がる。
 「ヨシュア姉さん、ツブしたってくれ!」
 「あいよ、任しときな!」
 そう、B.B とヨシュアの気が通じたのだった。
 B.B にしては、珍しく応援してた。


 向かい合う2機のハイザック。
 右がロザミア、左がヨシュア。赤と白。
 気力充分な両者だ。
 200mずつ離れた位置から、スタートする。
 ヨシュアのハイザックには、キャノンパックをつけてある。
 対するロザミアは、強化人間。ビームライフルの試作型を使用する。

 開始シグナルとなる発光弾とともに、両者は地上を浮上開始した。
 脚部スラスターからジェットが出て、土煙があがる。
 そして、ヨシュアがザクマシンガンで先制する。
 軽いジャブで、あいさつのつもりなのだろう。
 
 ロザミアは、教習通りに距離をとりに広がる。
 しかし、そこはキャノンの距離。
 ヨシュアが先行して、砲弾を置いていく!

 「ちっ、目障りなんだよ。アンタ!!」
 ロザミアのイラだちが、ビーム弾として砲弾を撃ち抜く!
 「ダンダンダン」
 ヨシュアは、奇襲戦法に出ていた。

 接近しながらの砲撃戦。
 キャノンパックのガードがあるからこその戦法。
 連射ではツブせないなら、タックルするまで。
 ロザミアには、それが読めている。

 「カミカゼだろ!アンタ!」
 
 「あいにく、飛行機乗りでね。
  翼をもがれてからじゃ、戦えないじゃないか!!」

  キャノンパックのガードが、吹き飛ぶ!
  ビーム弾が3発当たった後だ。


 「弾切れだろ!アンタ!!」
 ヨシュアは、ザクマシンガンをばらまきながら、赤★に傷をつけていった。

 「なぜ、突っ込んでくる!!死にたいのか!」
 ロザミアは、正確に当てているにもかかわらず、突進し続けるヨシュアにおびえた。
 ビーム弾は、もうない。
 ビームサーベルを抜いて、サシの勝負に出た!!
 

 それこそが、ヨシュアの読み通りだった。
 高速のホバーバトルなら、ビームに分がある。
 こちらに勝ち目があるとしたら、攻め続けること。
 攻撃は、最大の防御。
 強化人間だから、砲弾を撃ち落とすという、バカな芸当ができる。
 反応は速いが、そこが甘ちゃんだ。
 互いのビームサーベル対戦のため、ヨシュアはザクマシンガンを投げ捨てた。
 ちょうど、ロザミアの機体がいるはずの場所に向けて。
 
 「そこ!」
 ロザミアは、切りつける。

 一瞬、マシンガンの弾薬が連鎖爆発し、目がくらむ光を発した。

 ヨシュアの勝機は、そこだった。
 「もらった!!!」

 横っとびでスライディングしていく、
 ヨシュアの白★機体。
 スライディングしてすべりこみながら、
 ビームサーベルのほ先はコックピット寸前で止まっていた。

 土煙が上がるなか。
 ロザミアは、冷や汗をかいていた。
 真下からのびあがる、真っ赤なビームサーベル。

 「どこで、それを!」

 その声をきいて、ヨシュアは勝ちどきをあげた!
 「よし!!!」
  
 「緑の悪魔」の勝敗は、決した。
 ロザミアの赤が負け、ヨシュアの白が勝つ。
 ヨシュアは、満面の笑みで勝利を実感した。


 試合ではなく、実戦では勝ちがすべて。
 ロザミアの欠点は、集中しすぎることと言えた。

 「だから言ったろ!
  そそうはしてねぇ~ってさ♪
  うちのベイトが!!
  アンタ、甘ったれだね!!」

 ヨシュアは、自信たっぷりに白★を見せつけた。
 耳のピアスが楽しげにおどっていた。


 (完了♪)


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